アトピー性皮膚炎は年季が入るにつれて湿疹部位の表皮肥厚が進むと考えられる。
ゴリゴリした苔癬化(たいせんか)部位ではなくても、確実に表皮は厚くなりつつある
のではないだろうか?
師は私に病理組織像を見せながら語った。
「こうやって厚くなっているでしょ。だから薬(ステロイド)が入っていかないんだよ。」
したがって、重症の、いやもしかしたら中等症の患者さんでも、寛解導入時には
リント布を用いた重層療法、もしくは、ウェット・ラップ療法などが必要となるという
ことである。
薬(ステロイド)が皮膚の奥までしっかり浸透しなければ、それこそ「皮膚の表面は良くても
奥の方の炎症が完全に取りきれていない状態」となってしまうのだ。
ちなみに、吉田松陰が言うように、やたらと師だとか弟子だとか名乗るものではない。
少なくとも私の師は、自分が師だと思っていないし、私のことを弟子とも認めていない。
しかし、師は私に「とにかく自分で悩み苦しみ考えること」を教えてくれたのである。