近年、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を見分けにくくさせている新たな要素が加わっているかもしれません。
特に気になっている点を2つ挙げさせていただきます。
まず一つが、「新生児期からの保湿剤塗布」です。
最近だと、7-8割くらいの赤ちゃんが、生まれた時からベビーローション的な
市販の保湿剤を使用してきています。これらの赤ちゃんは、アトピーを完全に予防
できるかどうかは別として、大きくは皮膚状態が悪化しません。頬やあごがジクジク
したり、全身をかゆがったりという状態にはなりにくいのです。
もう一つが、「顔やくびなどに部分的に弱めのステロイド剤を使用している」赤ちゃんです。
乳児湿疹という診断の下で、ステロイド剤を処方されているわけですが、それなりに
薬の効果が発揮されてしまうので、すぐには酷い状態にはなりません。
どちらの群も、皮膚の見た目はさほど悪くないものの、潜在的に炎症が進行し、食物アレルゲン
の感作のリスクも高まります。
即時型食物アレルギーを発症して、初めてアトピーの存在に気付くわけです。
”隠れアトピー性皮膚炎”が増加している状況と考えられます。