アレルギー疾患に対する治療・管理は着実に発展しており、患者さんのコントロールレベルは向上しています。薬物療法(飲み薬・吸入薬・塗り薬など)や環境整備(お掃除やタバコの煙の回避など)が中心であることはもちろんですが、「患者教育」の必要性も高まっており、治療効果を左右する重要な領域と考えられています。
小児気管支喘息のガイドラインの中にも、「気管支喘息の治療は医師が適切な処方や指示を出しても患者側が受け入れて実行しなければ意味はない。そこには患者教育の果たす重要な役割がある。」と記載されています。間違ってはならないのは、全ては患者さんのためにやるということであり、医療者側の押しつけではないということです。病気を治すためには患者さんの協力が必要ということです。医師だけではなく看護師・保護者・本人なども含めて、「みんなで治すんだ」という気持ちが大切なのです。
さて、余談(本題?)ですが、なぜ一般小児科や小児救急医療においては患者教育という概念が話題にならないのでしょうか?Googleで「小児科 患者教育」でキーワード検索しても一般小児科に関するものはほとんどヒットせず、なぜかアレルギー関連ばかり並びます。その他で目立つのは糖尿病に関するものくらいでしょうか。
一般小児科では急性疾患が多いので、アレルギーや糖尿病のような慢性疾患とは扱いが異なって当然だと考える人もいるでしょうが、急性疾患に合わせた患者教育というものはあるはずだしやらなければダメでしょう。なぜなら一般の小児科外来の中心が感冒や胃腸炎などの急性疾患だからです。
急性疾患に対する患者教育というものを誤解している人(医師?)が多いのではないでしょうか? 教育と言っても、必ずしも「何でこの程度の症状で救急受診したのか!」みたいに患者さんを叱りつけたり、強硬に受診抑制を推し進めたりすることばかりを指しているのではないと思うのです。そのあたりの考え方については星川小児クリニック(横浜市)の山本淳先生がうまく表現されております。
私はアレルギー専門医ですが、今後は一般小児科診療も少しずつ変化していくかもしれません。これも夢の一つです。