小児のアナフィラキシーでは食物によるものが多く、成人でみられるような薬物、ハチ刺されなどは少ないようです。小児の食物アナフィラキシーにおける誘発症状をみると、皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状、血圧低下・循環器症状など多彩ですが、皮膚・粘膜症状は80%以上の症例で認められるので誘発症状出現のサインになります。しかし、皮膚症状よりも咳嗽(がいそう、咳)などの呼吸器症状や腹痛・嘔吐などの消化器症状が先行するパターンもあるので、皮膚所見ばかりに目が行っているとあわてることになります。
食物経口負荷試験をやっていると、試験中に突然「コンコン」と咳をし始める患者さんがいたりして、緊張が走ることがあります。どの施設でも同様だと思いますが、この咳には医師・看護師はすぐに反応し聞き逃すことはありません。
さらには、単発で出る咳、連続して出る咳、オットセイの鳴き声のような甲高い咳、ゼーゼーした喘息に発展するものなど咳の性質や経過は様々であり、注意深い観察と迅速な対応を要します。この呼吸器症状の程度や進展具合が緊急治療薬である『エピペン』を使用するタイミングの一つの目安となるので、どの程度の段階になったら良くない状況であるかのを患者さんや教育関係者の方々にも十分に把握していただく必要があります。