食物経口負荷試験の結果報告です。カニの経口負荷試験を実施しました。カニ特異的IgEは14.8でクラス3に相当します。エビを食べることができるお子さんなので、同じ甲殻類であるカニにもチャンスがあるかもしれないということで今回の負荷試験に至りました。「カニを食べなくても生活はできる。カニの負荷試験をやる必要があるのか?」と考える方がいるかもしれませんが、「食物アレルギー児の食品摂取機会を増やす」という観点からすれば必要な検査と思われます。特にこの患者さんの場合、鶏卵・牛乳・小麦など多種類の食品に対してアレルギーをもっているので、エビ・カニはダメ、イクラ・タラコはダメとやっていると食べるものがなくなってしまう危険性があるのです。また、単に食べるのを避けているだけなのか?本当にアレルギーを持っているのか?ということをはっきりさせておいた方がよいのです。さて実際の負荷試験の結果ですが、無事に茹でたカニを約15g摂取することができました。毎度のことですが喜んで帰宅されました。このお子さんはすでに10回以上の食物経口負荷試験を受けており、カニの負荷試験も楽しみしていたようです。小さな頃(2歳くらいが目安でしょうか)から負荷試験を経験していると食物に対する警戒心のようなものもあまり生じないのです。ところで、カニを15g摂取できればもうカニアレルギーはないと言ってもよいのでしょうか?もっとたくさん食べた場合に、何らかの症状が出てしまう危険性はないのでしょうか?こういう問題はまた奥が深いのでいずれお話しましょう。