非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる薬剤があります。熱を下げたり、痛みを和らげたり、炎症を抑えたりする作用を有する薬剤の総称です。この非ステロイド性抗炎症薬には塗り薬もあります。一応、アトピー性皮膚炎にも使用可能なのですが、少々問題があります。例えば、アンダームというお薬は、あまり効かないにもかかわらず、接触皮膚炎(かぶれ)などの副作用があるということで販売中止になっています。
「ステロイドではないから安心して使える塗り薬だ」と誤解して、乳児のアトピー性皮膚炎に使用すると、またたく間に湿疹を悪化させてしまう危険性があります。アトピー性皮膚炎の炎症を抑える効果が十分ではないために悪化してしまうのです。さらには、非ステロイド性抗炎症薬自体にアレルギーの病態を増悪させる作用があるとも考えられています。いずれにせよ、非ステロイド性抗炎症薬を使用してアトピー性皮膚炎が重症化してしまう乳児は少なくありません。
非ステロイド性抗炎症薬の塗り薬には、フエナゾール、コンベック、スタデルムなどがあります。アトピー性皮膚炎には使用しない方がよいでしょう。患者さんには、「Ⅳ群のステロイド(キンダベート・ロコイド・アルメタなど)の方がよほど安全かもしれません。」と説明しています。