数年前にはなりますが、日本小児アレルギー学会から「食物経口負荷試験や経口免疫療法に伴う重篤な事例」についての調査結果が報告されています。
以下は医療ニュースから(一部改変)
米国では、2017年7月にアラバマ州の小児病院で3歳の食物アレルギー患者がベイクドミルクの食物経口負荷試験によるアナフィラキシーショックで死亡したことが報告されている。また11月には日本で、神奈川県立こども医療センターが牛乳に対する急速経口免疫療法の維持療法中に患者に重篤な有害事象(低酸素脳症)が発生したことを明らかにした。今回の調査はこうした情報を受けて、日本小児アレルギー学会が食物経口負荷試験を実施している全国の344施設を対象に2017年10月19日~11月13日の期間で急きょ行ったものだ。
回答や情報公開のあった287施設中16施設(全体の5.6%)で、ICU管理を必要とするような重篤なアレルギー症状を引き起こしたことのある食物アレルギー患者がこれまでに18例いたことが分かった。そのうち8例は患者が誤ってアレルゲンとなる食物を食べてしまった「誤食」によるものだったが、9例は食物経口負荷試験や経口免疫療法に関連して生じていたことも明らかになった。
調査では、重篤なアレルギー症状を認めた症例として、(1)挿管を必要とする呼吸管理、ICU管理を必要とした事例、(2)低酸素脳症などの重篤な事例──の有無について尋ねたほか、後遺症の有無なども確認した。重篤なアレルギー症状が認められた18例の内訳を見ると、抗原では牛乳が8例(44.4%)と最も多く、鶏卵4例(22.2%)、小麦2例(11.1%)などが続いた。後遺症があったのは、誤食による2例と、神奈川県立こども医療センターの事例の計3例(16.7%)だった。