乳児の初発の食物アナフィラキシーがときどき受診されますが、その原因食物として少なくないのが小麦です。母親は、鶏卵や乳は「注意すべき食物」としてマークするのだと思いますが、新米ママにとっては小麦はあまりマークされていないのかもしれません。しかし、小麦は即時型食物アレルギーの原因食物としては3番目に多いのです。最近受診された例としては、麩(フ)、卵や乳を含まないクッキーなどがありました。なぜか、初診でアナフィラキシーでいきなり当院を受診されます(汗)。
小麦によるアナフィラキシーの特徴としては、呼吸器症状が多く、消化器症状は少ないとされており、実際そのような傾向があるのですが、その他個人的に感じるのは全身の蕁麻疹が癒合し、身体全体が発赤するような症例が多いということです。血管の透過性が亢進した状態であり、アドレナリンの筋肉注射と十分な点滴が必要になります。症状が回復してからも数時間院内で観察させていただき元気に遊ぶようになってから帰宅してもらいます。
たいていの症例において、乳児期早期に顔面や頸部の湿疹の既往があります。アトピー性皮膚炎と診断されていない場合が多いのですが、おそらく軽症とは言え乳児のアトピー性皮膚炎だったのでしょう。これを見逃さないようにするのがポイントだったというわけです・・・。つまり、アトピー性皮膚炎と診断していればその後に合併してくるかもしれない即時型食物アレルギーを注意できたのです。