食物アレルギー研究会から以下の見解が示されました。
2014年9月20日(土)の日本経済新聞朝刊で「遅延型フードアレルギー検査」に関する記事が掲載されました。この検査は血清中の食物抗原特異的IgG抗体(以下IgG抗体と略)を測定するもので、高額な保険適用外の検査です。
IgG抗体は食物アレルギーのない人にも存在する抗体です。IgG抗体検査結果を根拠として食物アレルギーを診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くリスクもあります。“食物アレルギー診療ガイドライン2012(2011年日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会作成)”、“食物アレルギーの診療の手引き2011(厚生労働省科学研究海老澤班作成)”では、IgG抗体を食物アレルギーの原因食品の検査法に挙げていません。「食物アレルギーハンドブック 2014 子どもの食に関わる方々へ」(2014年日本小児アレルギー学会発刊)では、食物アレルギーの原因食品の診断法としてIgG抗体を用いることに対して注意喚起をしています。米国や欧州アレルギー学会でもIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。
従って、IgG抗体検査(記事中の「遅延型フードアレルギー検査」)を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを当研究会の見解とします。
参考文献:
Stapel SO, et al. Allergy 2008; 63: 793-796.
Bock SA, et al. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1410.
食物アレルギーハンドブック2014(日本小児アレルギー学会)
食物アレルギーガイドライン2012(日本小児アレルギー学会)
食物アレルギーの診療の手引き2011(厚生労働科学研究班)
平成26年10月6日