夏季は気温が高く湿気も多いので、細菌が増殖しやすい環境となります。アトピー性皮膚炎の患者さんは、とびひ(伝染性膿痂疹)などの細菌感染症や、水いぼ、ヘルペスウイルス感染などのウイルス感染に注意する必要があります。アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が破たんしているため、黄色ブドウ球菌が皮膚に定着しやすく、とびひを発症するリスクが高いのです。また、ウイルス排除のメカニズムにも欠陥があり、そのためヘルペスウイルス感染などに弱いと言えます。
何といっても重要なのは、アトピー性皮膚炎の治療をしっかりと行い、皮膚のバリア機能を修復させ、皮膚感染症に対する抵抗力をつけておくことです。ステロイドやタクロリムスの副作用として「皮膚感染症の誘発・悪化」がありますが、どちらかと言えば、湿疹に対する治療が不十分でバリア機能が低下した皮膚の方が感染症のリスクが高いと思われます。