しかし、赤ちゃんのアトピーの診断を難しくさせる要素があふれています。
ちょっと羅列してみましょう。
1)”かゆみ”がアトピーの診断の必須条件である
一応、現段階では、「かゆみが有るか無いか?」でアトピーを判断するということに
なっています。これが非常に難しいわけです。医師でさえ主観が入りますよね?
今後は、違った方法(検査等)で診断できるようになることが期待されます。
2)新生児期から保湿剤を塗っている赤ちゃんが増えている
これも難しい問題なんですよ。
確かに、丁寧にスキンケアを実施していれば、重症のアトピーにはならないでしょうし、
早期摂取(卵とかを早めに食べさせていくこと)と組み合わせれば、即時型食物アレルギー
も回避できるかもしれません。
しかし、従来とは異なる経過で年齢を重ねていくことに、十分注意を払う必要があると考えます。
つまり、患者さんは、「自分がアトピーであるとは思わずに大きくなっていく」のではないかと
いうことです。なんとなく皮膚がかさつきやすいとか、かゆみを感じやすいとか、そういうことは
ないのでしょうか? あと、この人たちは、いったいいつまで保湿剤を塗り続けなければならない
のでしょうか?
3)乳児期早期から弱めのステロイドを中途半端に使用している赤ちゃんが増えている
正確に言えば、「中途半端な処方をする医師が増えている」なのかもしれません。
アトピーと診断せずに弱めのステロイドを処方する
⇒皮膚の見た目がきれいになってしまう
⇒湿疹がぶり返す、食物アレルゲンの経皮感作をうける
⇒それで、ようやく初めにあった湿疹が実はアトピー性皮膚炎だったことに気づかれる
注意すべきは、2)や3)の行為によって、1)のかゆみがマスクされてしまう(隠されてしまう)
ということです。アトピーかどうかわからなくなってしまうのです。
いずれにせよ、私はまずは診断ありきだと思っています。