今後の食物経口負荷試験(以下、負荷試験)のあり方について述べてみたいと
思います。あくまでも私見です。
負荷試験を全く受けたことがなくひたすら除去続けている患者さんたち・・・。
もしかしたら、食物アレルギーが治っているかもしれません。たとえ、治っていなかったとしても少しは食べられるかもしれません。いやいや、そもそもアレルギーが無かったということも無いわけではないのです。是非とも、負荷試験にチャレンジしていただき、少しでも食べられるようになっていただければ嬉しいです。地方には負荷試験を受けたことがない患者さんがまだまだ多数いらっしゃるのかもしれません。このような患者さんたちにとっては、負荷試験は貴重な検査となり得るでしょう。残念ながら、地域によっては負荷試験を実施している病院が見つからないようなところもあるようです。この点については、大きな課題です。
さて、一番悩んでいる患者さんの一群は、負荷試験で強い症状が出てしまい、その後の食事摂取の見通しが立たない方たちなのではないかと思います。アレルギー専門の病院で主に取り組んでいるのは、このような患者さんたちの診療のはずです。ある意味、負荷試験を実施すれば症状が出ることがわかっているような患者さんです。しかし、そのような患者さんにおいても、負荷試験の方法やその後の食事指導の対応の差によって、患者さんの数年後の状況は大きく変わってくるかもしれないのです。
見通しを持たない機械的な負荷試験→アナフィラキシー(ショック)→重症だ、危険だ→完全除去続行、となってしまうケースが少なくないわけですが、ここでちょっとした工夫が施せないものかと考えるのです。「負荷試験をやっても食事解除が進まない」、「負荷試験がトラウマになってしまった」、などということがあるとしたら、何のための負荷試験なのかと思います。
患者さんにとって意味のある負荷試験が拡がっていくことを期待します。