熱心な患者さんから、「即時だ、遅発だ、とわかりにくいです」という質問がありました。
確かにごちゃごちゃしていますね。易しく解説する自信はありませんが、参考にして下さい。
時間的には、数分から2時間以内くらいに現れる「即時型反応」、数時間後に現れる「遅発型反応」、24〜48時間以降に現れる「遅延型反応」に分類されます。
病態としては、「即時型反応」は、いわゆるⅠ型アレルギー反応であり、IgE抗体やマスト細胞が関与します。通常、「遅発型反応」は「即時型反応」に続いて起こる反応であり、好酸球などの炎症細胞が関与しています。また、「遅延型反応」は、いわゆるⅣ型アレルギー反応であり、Tリンパ球が反応の主体です。Ⅳ型アレルギー反応代表例としては、接触皮膚炎(かぶれ)や金属アレルギーなどがあります。
気管支喘息の場合、すぐに現れる「即時型反応」と数時間後に発症する「遅発型反応」の2つの反応が繰り返されることで、炎症が進行し気道の状態が悪化していきます(慢性気道炎症)。
「食物アレルギー診療ガイドライン」においては、食物アレルギーの症状を、食物を摂取して2時間以内に出現する「即時型」とそれ以上の時間を要する「非即時型」に分類しています。この区別はあくまでも時間的な分類であり、病態は関係しません。
さて、ここで現在巷で話題(?)となっている「遅延型フード(食物)アレルギー」の登場です。もちろん、このような病名が科学的根拠に基づくものはないことは、6月8日のブログで書いたとおりです。ここにおける“遅延型”という表現は「しばらく時間が経ってから症状が出る」という意味なんでしょうけれど、診断法として食物アレルギーのない健常な人にも存在する食物抗原特異的IgG抗体を用いたりするなど、いい加減極まりないものです。ご注意下さい。