乳糖は、若干の乳タンパク(乳糖1g中にβラクトグロブリン4~8μg)を含むので、牛乳アレルギーの患者さんが摂取を控えた方がよい物質ということになっています。しかし、実際にどれくらいの数の患者さんがこのような微量の乳タンパクに反応するのかはよくわかっていません。
牛乳アレルギーの患者さんに乳糖の経口負荷試験を施行してみると、ほとんどの患者さんは反応がみられませんし、反応が出たとしてもわずかな発疹程度であることが多いです。しかし、乳糖を含有する注射用ステロイド剤の点滴でアナフィラキシーを発症したという報告もあり安心はできません。ただし、経口摂取と注射は同じようには考えられないかもしれません・・・。
現段階の対応としては、個々の症例において検討していくしかないでしょう。つまり、その牛乳アレルギーの患者さんがどれくらい乳糖に過敏であるのかを、負荷試験等で検討してみるしかないということです。印象としては、かなりの牛乳アレルギーの患者さんが乳糖の摂取が可能であると思われます。例えば、多くの錠剤(tablets)に添加剤として乳糖が含まれていますし、ドライパウダー式(DPI)の吸入ステロイドなどもキャリアー粒子として乳糖を使用していますが、ほとんどの牛乳アレルギーの患者さんが、これらの薬剤を問題なく使用しているのです。そもそも患者さん(あるいはその家族)は自分たちが使用している薬に乳糖が含まれていることを知らないかもしれません。