“Choosing Wisely®”「賢い選択」(2014/3/8)の中から・・・
インフルエンザワクチンや黄熱ワクチンには、極めて微量ではあるが鶏卵蛋白が含まれるので、鶏卵アレルギーの患者さんでは症状が出ないとは言い切れません。しかし、4172例の鶏卵アレルギー患者さんに計4729回の不活化インフルエンザワクチン接種を行ったデータをみても、アナフィラキシーは一例も存在しませんでした。この中には513例の重症の鶏卵アレルギー患者さんも含まれていたということです。
CDCの予防接種諮問委員会(ACIP : Advisory Committee on Immunization Practices) は鶏卵アレルギーの人におけるインフルエンザワクチンの接種についての勧告を公開しています。基本的には、接種後30分間の観察をすれば、あらかじめ皮膚テストをしないでも1回接種を試みてよいという方針です。また、「卵を食べることによって軽度の蕁麻疹は出るが、そのほかの問題はない人」は、通常の医療機関での接種が可能であり、一方、より重症の鶏卵アレルギー患者さんではアレルギー免疫専門の施設での接種を勧めています。
米国では鶏卵を使用しないワクチン「Flucelvax」と「Flublok」とが開発されています。
ただし、18歳以上の成人においてのみ接種が認められているようです。
黄熱ワクチンは、鶏卵アレルギーの患者さんでは接種前の皮膚テストが必要です。皮膚テスト陰性の場合は、普通に接種してよいが、接種後30分間の観察を要します。皮膚テスト陽性の場合は、少量からの段階的な接種で実施すべきです。
なお、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、狂犬病ワクチンについては、鶏卵蛋白の含有量はほとんど問題にならない量なので、鶏卵アレルギーの患者さんでも普通に接種してよいということです。