小児科の外来では、患者本人である子どもに対してではなく、保護者である母親(あるいは父親)に対する説明や指導が中心となりがちです。しかし、アレルギー疾患のような慢性疾患の場合は治療が長期戦になるので、少しずつ子どもに対する教育も必要になってきます。喘息に関しては、昔から喘息教室と呼ばれるものが様々な機関で行われてきており、親子共々教育するという姿勢がとられています。その他、アトピー教室、アレルギー勉強会などいろいろな名称のアレルギー関連の教室が存在しますが、なかなか子どもさん中心の企画は少ないのではないでしょか。我々医療関係者も「まずは保護者に」と考えてしまいますし、子どもに教えるにはかなりの技術やエネルギーを要します。
特に、食物アレルギーの場合は、毎日の生活の中で差し迫るものがあるのではないでしょうか。とりあえず薬を与えておけば済むような病気ではないのです。事故が起こってからでは遅いので、すなわち子どもが間違えてアレルギーを起こす食品を摂取(誤食)してしまってからでは取り返しがつかないので、保護者は非常に幼いうちから子どもに教育を開始します。例えば、「なぜ、食べられないものがあるのか?」、「間違ってアレルギーを起こす食品を食べるとどのような症状が出てしまうのか」などのことをわかってもらうために様々な努力をします。その成果もあって、入園するくらいまでには多くの食物アレルギー児がある程度の判別をできるようになっていくのです。この辺のところを我々医療関係者がもう少し手助けしてあげなければいけないのではないかと考えています。