経口耐性誘導療法(経口免疫療法、経口減感作療法)は、その方法がどのように分類されているのでしょうか。「飲み込む(経口摂取)」のか「吐き出す(舌下)」のかという投与経路による分類もありますが、ここでは、「急速法」と「緩徐法」という投与速度による分類についてお話してみましょう。
急速法(rush)とは、入院管理下で1日に2-5回の摂取回数で急速に摂取量を増加させる方法で、およそ1週間程度で維持量まで到達することを目標とします。通常は、鶏卵なら卵1個分相当、牛乳なら200mLくらいを目標とします。
短期間で維持量に到達できるメリットがありますが、増量中のアナフィラキシー症状はほぼ必発と言われています。また、1週間で全てが解決するわけではなく、退院後も自宅で維持療法を続ける必要があります。つまり、本当に治っているとは限らないので、自宅で摂取を続けて安定した状態を保つことができるのかを確認しなければならないのです。これが意外と大変です・・・。
一方、緩徐法(slow)とは、主に軽症~中等症の患者さんを対象として、自宅で少量から少しずつ摂取・増量させ、3カ月から半年くらいの期間で維持量まで到達させる方法です。とかく急速法が注目されますが、大多数の患者さんではこの緩徐法が適応となるものと思われます。
さて、前回にこの治療法はまだ研究段階であることをお話しました。今後、どのような展開になるのか注目すべきところです。現時点の印象を述べるとすれば、これまでは除去、除去と言い過ぎてきたのは確かでしょう。しかし、「食べればすべて治る」と結論づけるのはまだ時期尚早であり、その点については患者さんも冷静にみていただきたいと思います。