食物経口負荷試験(以下、負荷試験)は、食物アレルギーの原因として疑われる食品を経口的に摂取して症状の出現を観察するもので、食物アレルギーの確定診断のための最も信頼性の高い検査です。
食物アレルギーの患者さんはそれぞれ原因アレルゲンやアレルギーの過敏の程度が異なるので、これまで、負荷試験の適応や方法について十分に標準化されていない状況にありました。このような現状を踏まえ、平成20年春に日本小児アレルギー学会において食物アレルギー委員会の中に食物経口負荷試験標準化ワーキンググループを立ち上げ、初めて負荷試験の標準化に関する検討が開始されました。そして、平成21年4月に「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009」が発刊されました。
ガイドラインの中で、繰り返し強調されている点は、「安全性と正確性を確保した負荷試験」ということです。そのための具体的な要点として、負荷試験に熟練した医師が行うこと、看護師あるいは栄養士などの人員が揃っていること、翌日まで経過観察や治療が行える入院設備が整備されていることなどが挙げられています。一方、入院設備がない医療機関で実施する場合には、安全性をより確保した方法をとること、救急対応してくれる病院との連携をとることが求められています。
負荷試験は、常に重篤なアレルギー症状を引き起こすリスクを伴うため、食物アレルギーの診療やアナフィラキシーの対応に十分な経験を持った医師が行うべきであると考えられ、新たに負荷試験をはじめる医師は実際に負荷試験を行っている施設での実地研修が勧められています。