今更ながらというタイトルですが、これ抜きでは食物アレルギーは語れないという感があります。食物経口負荷試験とは何かと言えば、ガイドライン(食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009)では、「何らかの食物に対するアレルギーが疑われる患者に対して、疑われる食品を直接経口摂取させて誘発症状を観察する試験である」と書かれています。もっと簡単に言えば、病院において、アレルギーが疑われる患者さんに対して医師の目の前で少しずつ食べさせてみる検査です。この検査によって、食物アレルギーが治ったかどうか、食物アレルギーの重症度はどうなのかなどが明らかになるわけです。
外来で患者さんに向かって、「そろそろ負荷試験を計画しましょうか」みたいに話すときに、一部の患者さんからは「負荷試験って何ですか?」と返されてしまいます。私の説明が足りないからそうなるのでしょうが、患者さんにとっては食物経口負荷試験というものはまだまだポピュラーな検査にはなっていないのです。もちろん、重症の食物アレルギー児の場合はこの検査を複数回実施していることが多く、母親も「負荷試験」と言えばすぐに理解してくれます。
アレルギー専門医はみな同じだと思うのですが、食物経口負荷試験を通じて食物アレルギーを学ぶというところがあります。症状の出方や、特異的IgE抗体価と症状誘発率の関係、アナフィラキシーの対処法、患児や母親たちの心の変化など多くのことをこの検査を通じて学びます。あくまでも検査であり、食物アレルギーを勉強するために実施しているのではないのですが、自然と学ばされてしまうのです。
当院ではこの食物経口負荷試験を土曜日を除くほぼ毎日実施しています。明日も2例が予定されています。やればやるほど難しくなるというか、奥の深さがあり、子どもたちのためにも真剣に取り組まなければいけないと思っています。