日本小児アレルギー学会は16日、離乳食を始めるころの生後6カ月から、乳児にごく少量の鶏卵を食べさせることで、卵アレルギー発症の予防になるとの提言を医療関係者向けに公表した。家庭で独断で実施するのではなく、必ず専門医に相談してから始めてほしいと指摘している。
卵アレルギーは、乳幼児の食物アレルギーの中で最も多く、有症率は10%といわれる。アレルギーは卵を口にした場合、湿疹や頭痛、呼吸困難などの症状が起きる。
鶏卵を食べることで卵アレルギーの発症を抑える研究は、国立成育医療研究センターなどのチームが昨年末、英医学誌ランセットに発表。少量を食べ続けることで体が慣れ、免疫反応が抑えられたとみられる。
学会の提言では、生後6カ月の乳児がMサイズの卵100分の1程度を3カ月間、1歳児で卵半分を取り、皮膚の状況を管理する。ただ摂取は予防のためであり、すでに卵アレルギーの発症が疑われる乳児に摂取を促すことは「極めて危険」と警告している。
食物アレルギーはかつて、離乳早期に原因となる食品は食べさせるべきではないとされていた。近年、ピーナツアレルギーの発症予防でも、乳児に摂取を始めることで予防につながるとの海外の研究報告がある。
同学会食物アレルギー委員会の海老澤元宏委員長は「赤ちゃんは湿疹が当たり前という誤解を払拭したい」と話していた。