現在の医療では、ただ身体上の病気を治すだけではなく、患者さんがよりよい満足のいく生活ができるように治療すべきであるという考えが広まっています。
このことをアレルギー疾患で考えてみるとどうでしょうか。気管支喘息の場合は、咳や息苦しさのために園や学校に行けない、運動ができない、睡眠がとれないなどが問題となるでしょう。また、症状が出現することの不安におびえながら生活することもあるでしょう。
私は、今年の4月から6月くらいにかけて約2ヶ月間咳に悩まされました。おそらく風邪をこじらせて気管支炎でも起こしたのでしょう。ひたすら痰のからんだ咳が続いたのです。熱もありませんし、食欲も普通にありましたが、とにかく咳の煩わしさといったらこの上ありません。『うっとおしい』、『体力を消耗する』、『胸が痛い』といった感じでしょうか。普段はめったに風邪もひかないのでただ咳が出るということだけでもまいってしまいました。この時に一番感じた事は、「咳とはこんなにつらいものなのか。ぜんそくの患者さんは大変な思いをしているのだな。」ということです。
アレルギー疾患に限らないことですが、それぞれの症状が患者さんにとってどれだけ負担になっているのかということに常に配慮して診察する必要があります。もし医師が、「咳くらいは大したことではない。ゼーゼーしたり、息苦しくなったりしなければ問題ない。」などという考え方をもっているとしたらとんでもない間違いだと思います。