一昔前と比べると喘息のコントロールレベル(患者さんを良い状態に保つこと)が向上したと言われています。喘息発作により入院したり、命を落としたりする患者さんも減少してきました。私は小児科医ですが、秋の当直が過酷であったことを記憶しています。毎年、9-10月くらいになると夜間に喘息発作を起こしたお子さんが多数受診され、吸入や点滴、さらには入院処置と動き回っていました。「お子さん」と書きましたが、記憶に残っている年齢層のイメージとしては5-10歳くらいの患者さんが中心だったと思います。
さて、喘息発作による入院が減少してきた・・、と述べましたが0-4歳くらいの低年齢の入院患者数は必ずしも減っていないことがわかっています。この年齢層は、小児喘息の大多数が発症してくる年齢でありますが、一方で診断が難しく、長期管理(予防的な治療)開始のタイミングなどで悩まされることが少なくありません。つまり、ゼーゼーするような乳幼児がたくさんいてそのうちのどれが本当の喘息なのかどうか見極めが難しいのです。しかし、この喘息発症早期に適切な治療介入を行えばその後の経過が良好となる可能性があるのです。残念ながら、現段階ではどの時期にどのような治療を開始すれば小児喘息の進展を抑えられるのかは解明されていませんが、重要な研究課題の一つなのです。