食物アレルギー 治療や検査で9人が重い症状に
11月19日 11時50分 NHK NEWS WEB
アレルギーの専門の医師でつくる日本小児アレルギー学会は、全国の医療機関を対象に調査を行い、食物アレルギーの治療や検査に関連して、少なくとも9人の子どもが自力での呼吸が難しくなるなどの重い症状を起こしていたことがわかりました。
この調査は横浜市にある病院が行った食物アレルギーの臨床研究に参加した子どもが、一時、心肺停止になるなどの重いアレルギー症状が出たことが明らかになったことなどから、日本小児アレルギー学会が緊急に行い、19日、宇都宮市で開かれた学会のシンポジウムで公表しました。
調査は食物アレルギーの診療を行っている全国344の医療機関を対象に行い、83%にあたる287の施設から回答を得ました。その結果、食物アレルギーの子どもが自力での呼吸が難しくなるなど、重い症状が出た事例はこれまでに18件あったということです。
このうちアレルギーの原因となる食べ物を間違って口にしてしまう「誤食」が8人と最も多く、この中の2人は記憶障害などの後遺症がでたということです。
また、治療や検査に関連して起きた事例についても初めて調査をしていて、食べ物を口にしてアレルギーの診断を行う検査では5人、アレルギーの原因となる食べ物を少しずつ食べる「経口免疫療法」と呼ばれる治療では4人が重い症状が出たことがわかりました。
このうち、気道に管を挿入するなどの緊急の対応を行ったケースもあったということです。学会では追加の調査を行い、原因や対応策などを探りたいとしています。
調査を行った国立病院機構相模原病院の海老澤元宏医師は「誤食については改めて、食べられる量について専門医から適切な指導を受け、アレルギー症状が出た際の緊急的な対応についても確認をしてほしい。また、アレルギーの治療や検査の中でも重篤な事例が初めて確認できたので、どうすればより安全性を高められるのかを調べ、医療機関どうしで情報を共有していきたい」と話しています。
誤食や治療・検査の注意点は
今回の調査結果で最も多かったのは「誤食」でした。食物アレルギーの問題に詳しい国立病院機構相模原病院の海老澤元宏医師によりますと、自宅ではきちんと症状が出ないように食事ができていても、外食や宿泊先で提供された食事のほか、学校や保育園などでの給食で誤食が多く起きているということです。
そのため、外食産業や教育現場に携わる人たちのさらなる知識の向上が必要になるほか、患者自身は緊急時の治療薬を常に携帯するよう改めて意識し、おう吐が続いたり、息がしにくかったりするなどの症状が一つでもあれば、注射薬を使うようにしてほしいということです。
また、医師の指導のもとで行う治療や検査に関連して重いアレルギー症状が出ていることについては、かぜやぜんそくなど体調の悪化によって、通常よりも少ない量の摂取で強いアレルギー症状が出てしまうことがあるとしています。
どのような状況や量で起きるかは患者それぞれによって違うということで、治療の継続や摂取できる量を自己判断することなく、少しでも悩んだら診療を受けている専門医に聞くことが重要だとしています。
*明日からコメントします。