かつては、小児アレルギー疾患の花形と言えば「気管支喘息」でした。
吸入ステロイド薬の普及は、気管支喘息の重苦しいイメージを一変させたと思います。
その後、2000年代になってからは「食物アレルギー」に熱心に取り組む医師が急速に増え、多くの病院で食物経口負荷試験が実施されるようになり、経口免疫療法の研究も進みました。
近年、「アレルギーは皮膚から始まる」というルート(経皮感作)が注目されるようになり、「アトピー性皮膚炎」を適切に管理することや、その発症自体を予防することが大切であると考えられるようになってきました。また、荒れた皮膚をそのまま放置していると、その後食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎を発症する危険性も高まるのです。
というわけで、これまでは、気管支喘息を専門とする医師、食物アレルギーを専門とする医師、アトピー性皮膚炎を専門とする医師、のようにそれぞれのアレルギー疾患を分け隔てて扱っている風潮が無きにしも非ずだったのですが、今やそんなことを言っていたらしっかりと患者さんを治療・管理できないのではないかと思います。
改めて、当院のホームページの冒頭の「小児アレルギーに関して」を読んでいただきたいと願います。これは、単に「アトピーも診ますよ、ぜん息も診ますよ」ということではなく、一人の患者さんが持っているアレルギー疾患を“同時に”眺める必要があるのではないか?ということです。全てが影響し合っているわけですから・・・。