乳児期発症した鶏卵・牛乳・小麦などの食物アレルギーは、その多くが年齢とともに耐性を獲得し摂取可能になっていきます。おおよそ、3歳で50%、小学校入学までに80-90%が治っていくとされています。しかし、中にはなかなかアレルギーが改善せず、年齢が大きくなっても少量のアレルゲンで反応してしまう患者さんもいます。そしてときどき経験するのは、かなり治っているようにみえるのだけれども、時に強い症状を呈してしまうようなタイプです。牛乳アレルギーでよく経験します。どのようなパターンがご紹介しましょう。いずれの症例も乳児期に牛乳アレルギーを発症し、過去にはアナフィラキシーの経験もあるような患者さんです。その後、徐々に症状が緩んでいるようで、摂取量や範囲が拡大しています。小学校入学後も牛乳の完全除去等は実施しておらず、ほとんど他の生徒と同様な給食を提供されています。中には、牛乳は100mLくらいで摂取を止めておくとか、チーズのみ除去とか行っている患者さんもいたりしますが、問題なのはこのような摂取の仕方を本人の自己判断で行っていたり、誰が決定したのかはわかりませんが曖昧な除去指示であるということです。このような症例がどのような経過で判明するのかと言えば、学校給食後のアナフィラキシーという形で発症します。開業後も2-3例は経験しています。アナフィラキシーで受診した時が当院初診であり、それまでは私が診ていなかった患者さんです。これらの症例はみな上記のような共通したパターンをとっています。大きくなって結構食べられる(飲める)ようになってはいるのです。牛乳を200mL飲んで何ともないこともあるのです。ところが何らかのきっかけで突然アナフィラキシーを発症してしまうのです。摂取後の運動が引き金のことが多いようです。かなり食べられるようになっているのに、強い症状が出てしまうこともある・・・、牛乳アレルギーは難しいですね。