だから、単回負荷の大きな利点は複数回じゃないこと、つまり、
「追加の負荷をしないこと」にあるのです。
なんじゃそりゃーと思うでしょう。
私は、より安全な食物経口負荷試験(OFC)を追求していく上で、負荷量をどんどん
下げていく、摂取間隔を拡げていく等、様々な工夫を取り入れてきましたが、どんな方法を
駆使しても十分満足のいく結果は得られませんでした。ときどき、蕁麻疹や咳などの症状を
引き起こしてしまうということです。
結局、”追加すること”に問題があるのではないかと考えました。
どんなに負荷量を減らしても、追加すると症状が出ることがある・・・・・。
それはどうしてか?
要するに、複数回摂取のとき、実際には初回摂取量だけで症状が出ていたのかもしれない
ということなのです。牛乳0.2mL負荷して何も症状が出なければ30分後くらいに0.5mLとか
2回目の追加負荷を実施したりします。少々重症の患者さんであれば、それでアナフィラキシーに
なることもあり得ます。「合計0.7mL負荷で症状陽性」という結論を下されるのです。
しかし、もしかしたら0.2mL単回負荷だけでも40-50分後に軽度の症状が出ていたかもしれない・・・・・。
この患者さんの閾値(いきち)は0.7mLではありません。
ちょっとしたさじ加減で結果は大きく異なってくるのです。