「ガイドライン⇔現場実態」課題ビッグスリー。
今回は、アレルギー性鼻炎について。
①「抗原の除去と回避」実施は忘れられつつある?
診療ガイドラインでは、薬物療法だけでなく、アレルギーの原因となる抗原の除去や回避を推奨しています。
ところが実態(※)は、患者の9%(成人で6%、小児で12%)しか「鼻炎を悪くする原因を取り除く・避ける」よう主治医に指導されていません。
②「日常生活に支障がない」レベルまで症状コントロールできていない症例が3割も
診療ガイドラインでは、「日常生活に支障がないようにすること」を治療の目標と設定しています。
ところが実態(※)は、仕事・勉強・家事など日常生活に「あまり/全く差支えない」状況の患者は全体の32%(成人で24%、小児で40%)に過ぎません。逆に言うと、残りの大多数が日常生活に支障をきたしており、症状コントロールまで到達出来ている人は少ないようです。
③根拠のない「民間療法の実施」も珍しくない
診療ガイドラインでは、民間療法の推奨はしておりません。民間療法はガイドラインに記載されている標準的治療にあくまでも補助的なものとして考えるのが良いと思われます。
ところが実態(※)は、患者の9%が鍼灸(注:鼻炎は保険適用外です)や、甜茶(てんちゃ)・ヨーグルト・いちごなどの食事療法を主治医から指導されており、うち8%の人は薬を一切処方されていませんでした。ここではそれらに効果があるかどうかの判断は避けますが、間違った民間療法を行わないように気をつける必要があります。
※実態の値(%)は本調査結果からの引用です。あまり例をみない大規模調査ですが、医師調査は自発的郵送返信、患者調査はインターネット調査で行っており、全国の実態を代表していない可能性があります。